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2首

作者

持統天皇

じとうてんのう

和歌

春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山

はるすぎて なつきにけらし しろたへの ころもほすてふ あまのかぐやま

現代語訳

春が過ぎ、夏がやって来たらしい。天香具山には、夏の衣を干している。

ひとことメモ

季節の移り変わりを、山の景色と人々の営みで感じ取っています。

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私がかるたを始めたときのお話です。

「決まり字」っていうものがあることを知らなかった中学生のとき。

ポケットに札を10枚ずつ入れてね、

「今日は1枚! 明日はまた1枚!」って、必死に覚えたの。

 

そのときはね、歌を詠んだ人の名前から、ぜんぶ覚えて。

そうしたら、1か月もかかっちゃった。

でもね、あとで思ったの。

「作者と歌をしっかり覚えたことって、とっても役に立ったなあ」って。

 

あるとき、別の人がね、

「私は1週間で覚えたよ!」って言ったの。

「えっ、どうやって?」って聞いたら、

「決まり字だけを覚えたんだよ」って。

 

なるほどね、それは早く強くなれるやり方だよね。

でも私は、やっぱり歌も、人の名前も、いっしょに覚えてほしいなあって思うんだ。

 

ちなみにね、私がいちばん最初に覚えた歌は、

「春過ぎて 夏来にけらし」っていう歌。

意味なんて、ぜんぜんわからなかった。

 

でも今はね、決まり字を教えるときに、

「ころも干すのが、春すぎてね」

っていうふうに、ちょっと工夫して教えているの。

 

決まり字を手がかりにしながら、

歌も、人の名前も、すこしずつ覚えていってほしいな。